フランク・ザッパ公式オンラインショップのBarfko-Swillで注文したCDやDVDが1ヶ月以上経ってもなかなか届かずヤキモキする日々が続いております。
今回はYoutubeにアップされているフランク・ザッパ関連のおすすめブートレグ音源を紹介します。Youtubeでの投稿動画の時間制限が撤廃されてから、ザッパ関連に限らず色々な貴重音源または映像がアップロードされるようになりました。音楽ファンにとっては嬉しい限りです。時間制限撤廃により以前は断片的にアップロードされていたブート音源も現在ではフルで数多くアップされています。そうした音源を漁っていたところ、是非ザッパファンの皆様に一聴して頂きたい優良音源が色々見つかったのでブログ記事にして紹介したいと思った次第でございます。
ところで私のブートレグに対する見解ですが、「ブート業者に銭を落とさなければ、音源を聴いて楽しんでもいいんじゃないか」という考え方です。ちなみに私はブート音源にお金を使ったことはありません。「目には目を歯には歯を」的な発想で"Beat The Boots"シリーズを発売するなどしてブート業者と真っ向から戦ったザッパ本人の意思にはそぐわないかもしれませんが、ブート音源は無料で楽しみ、オフィシャル音源はお金を出して楽しむ、というスタンスであれば咎められることはないと私は思っています。
さて、早速Youtubeにアップされているおすすめのブートレグを紹介して行きましょう。
その① マンチェスター公演(1979年 2月12日)
布陣としては「ジョーのガレージ」(79年9月発売)の編成となっています。テリー・ボジオ、エイドリアン・ブリュー、パトリック・オハーン等を揃えた前編成で録音された「シーク・ヤブーティ」が79年3月発売ということを考えると、ライブに行けないファンが自宅で「シーク・ヤブーティ」を聴いている頃、既にライブ会場では「ジョーのガレージ」の編成による演奏が行われていたわけです。こうした点から、ザッパの音楽が一定の場所に留まらずどんどん先へと進んでいたことがわかります。というよりも実情はメンバー固定が難しかったという理由による急なメンバー変遷なんでしょうけれども…。
サウンド面ですが、いわゆるブート物としては最高の部類と言えます。演奏に関しても、私が歴代ザッパバンドドラマーの中で一番好きなヴィニー・カリウタが在籍している時期なだけあってキレキレで、ザッパのギターも冴えに冴え渡っています。ヴィニー・カリウタ在籍時の音源から抽出された濃密な全編ギターアルバム「黙ってギターを弾いてくれ」が好きなザッパファンにとってはたまらない音源と言えるでしょう。
この音源の聞き所としては、冒頭の"Persona Non Grata"や"Easy Meat"、"Inca Roads"等におけるザッパの素晴らしいギターソロと、2時間を超えてから始まる"Pound For A Brown", "Deathless Horsie", "Five-five-five"の3曲におけるインプロ合戦でしょう。ヴィニー・カリウタという稀代の名ドラマーを据えたことで、ザッパのギターや他メンバーの演奏もノリに乗っているように感じます。ザッパ本人も88年のインタビューで「私はドラム以外の楽器へのアプローチを理解し、ドラム・セットをメロディ楽器のように見立て、単にギターの伴奏としてではなく、ともに音楽を奏でるような感性でプレイできるドラマーを求めている。(中略)そういった考えを実践できるドラマーとして私が初めて出会ったのがヴィニー・カリウタだった。」(ギター・マガジン2008年4月号より)と語っている。さらに、「エインズレー・ダンバーとのセッションがギタープレイヤーとしての転機となった」(同上より)ということも話しており、このことから「ザッパの変化するギタースタイルの影に優良ドラマー有り」と言えます。
ザッパのブート音源で私が最も好きなこのライブ、是非聴いてみてください。
※フルではアップされていませんが、同時期のブートならミュンヘン公演の音源やポキプシー公演の音源も面白いです。
その② エル・パソ(テキサス)公演(1975年 5月23日)
Jimmy Carl Black(ゲスト出演)。
"Zappa/Beefheart/Mothers"名義の時期の編成、75年発売の「ボンゴ・フューリー」期の音源です。私は前述のマンチェスター公演と同じくらいこの音源が好きです。理由としては、「ボンゴ・フューリー」では断片的にしか聴けなかったこの時期のライブがフルで聴けるという点が挙げられます。また、音質はもちろん良好ですが、熱い演奏と軽く音割れ気味のブート音源の荒々しい感触がボンゴ・フューリー期のサウンドとマッチしていて実に素晴らしいです。
この音源の聞き所としてはなんと言っても冒頭の"Apostrophe"!74年発売の同名アルバム「アポストロフィ」に収録されているスタジオバージョンのゴリゴリで歪みまくりなベースライン(ジャック・ブルースが演奏)が苦手な私ですが、このテイクは本当に最高です。ザッパバンド歴代ベーシストの中で最もファンキーなベースを奏でるトム・ファウラーがこの曲では輝きまくっています。公式アルバムでもこんな感じでトム・ファウラーのサウンドが全面に出る楽曲があれば最高だったのにと考えずにはいられません。さらに、ナポレオンのボーカルが暴走気味で最高な"I'm Not Satisfied"や、ホーン隊が中心となって展開されるインプロの"A Pound For A Brown"など聞き所満載。全編通して各メンバーの演奏に勢いがあって最高ですが、弱点をあえて挙げるならザッパのギタートーンがややイマイチなところか。もちろんビーフハート隊長の歌声も聴けます(ライブ中歌わない時はただひたすら絵を描いていたというのは本当なんでしょうか…)。
※同時期のブートではプロビデンス大公演も良い音質です。
その③ ダラス公演(1980年 10月17日)
こちらは"Tinsel Town Rebelion"(81年発売)や"Buffalo"(5年前くらいにオフィシャルで出たこの時期のバンドのライブ音源)の頃の音源ですね。ヴィニー・カリウタが最後に在籍していた編成です。個人的にはキーボードと高音ボーカルを担当していたボブ・ハリスがお気に入りのメンバーです。
音源を聴いてまず驚くのはそのミックス。ドラムとギターが全面に出まくりです。正直やや低音が弱くスカスカな感じに聞こえますが音質自体は素晴らしく、迫力ある音源となっています。こちらもマンチェスター公演同様、ギターとドラムが存分に楽しめる音源だと私は思います。
さて、聞き所ですが、冒頭の"Chunga's Revenge"の迫力に圧倒されます。ザッパもカリウタも絶好調ですね。続く2曲目に"I Don't Wanna Get Drafted"が演奏されている点に意外性を感じます。これがまたデヴィッド・ローグマン(カリウタの後任のドラマー)のバージョンとは違い、疾走感があって素晴らしいテイク。さらに、4曲目の"Keep It Greasey"では超高速なアレンジが施されており、カリウタがぶっ倒れないか心配になるほどの速さです。高速ピッキングのバロウのベースも凄いですね。
その後続いていくのは"Outside Now"、"Pick Me I'm Clean"、"City Of Tiny Lights"、 "Easy Meat"、"The Torture Never Stops"といったギターソロ映えする楽曲ばかりで、全てが「黙ってギターを弾いてくれ」に収録されてもおかしくない出来です。是非ご一聴を。
以上3つの音源を紹介しましたが、ザッパのブートレグにはまだまだ良質なものがあります。某バンドの楽曲で有名な火事が起こっちゃった時の音源や、76年の大阪公演など、Youtubeには色々な音源がアップされているので是非探してみてください。気が向いたら他の音源も紹介してみます。
ではみなさん今年もツイッター共々よろしくお願いいたします。
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