2014-08-08

少年犯罪をテーマにした楽曲(Oingo Boingo - Only a Lad と Warren Zevon - Excitable Boy)

今回は少年犯罪をテーマにした2曲を和訳してみました。本当はOnly a Ladだけ和訳する予定だったのですが、歌詞の主題が似ているということでExcitable Boyの方も載せることにしました。


Oingo Boingo - Only a Lad





Johnny was bad, even as a child everybody could tell
ジョニーはワルガキで有名だった
Everyone said if you don't get straight you'll surely go to hell
皆口々に「更正しなけりゃお前は間違いなく地獄行きだ」と言った
But Johnny didn't care
しかしジョニーは気にも留めなかった
He was an outlaw by the time that he was ten years old
彼は10歳の時点で既にアウトローだった
He didn't wanna do what he was told
言われたことをしたがらない
Just a prankster, juvenile gangster
いたずら者の早熟なギャングだった

His teachers didn't understand
先生達は彼に理解を示さなかった
They kicked him out of school
彼を退学処分にした
At a tender early age
多感な時期に
Just because he didn't want to learn things
彼の勉強嫌いが原因だった
Had other interests
それに彼は別の物事に興味があった
He liked to burn things
物を燃やすのが好きだったのだ!

The lady down the block
その女性は通りを歩いていた
She had a radio that Johnny wanted
ジョニーが欲しかったラジオを持って
oh so bad
ああ、なんという不運だ
So he took it the first chance he had
だから彼は最初にラジオを奪って
Then he shot her in the leg
それから彼女の脚を撃った
And this is what she said
そして彼女はこう言った

"Only a lad"
「彼はまだ子供なのよ」
You really can't blame him
彼を責めることは出来ない
"Only a lad"
「彼は少年なのよ」
Society made him
社会が彼を産んだのだ
"Only a lad"
「将来がある若者なのよ」
He's our responsibility
責任は我々にあるのだ

"Only a lad"
「彼はまだ子供なのよ」
He really couldn't help it
彼は本当に我慢出来なかったのだ
"Only a lad"
「彼は少年なのよ」
He didn't want to do it
彼はやりたくてやったわけではない
"Only a lad"
「将来がある若者なのよ」
He's underprivileged and abused
彼は恵まれない境遇で虐待を受けていたのだ
Perhaps a little bit confused
おそらくちょっと混乱してしまったのだ

His parents gave up they couldn't influence his attitude
両親は彼を更生させることを諦めた
Nobody could help the little man had no gratitude
謝意を持ち合わせていないこの少年を誰も助けることが出来なかった
And when he stole the car
そして彼が自動車を盗んだ時
Nobody dreamed that he would try to take it so far
彼が自動車をはるか遠くまで持って行こうと考えたなんて誰も想像できなかった
He didn't mean to hit the poor man who had to go and die
彼は死ぬ運命にある貧しい男を殴るつもりではなかったのだ
It made the judge cry
話を聞いた裁判官は泣いてしまった

"Only a lad"
「彼はまだ子供だ」
He really couldn't help it
彼は本当に我慢出来なかったのだ
"Only a lad"
「彼は少年なのだ」
He didn't want to do it
彼はやりたくてやったわけではない
"Only a lad"
「将来有望な若者なのだ」
He's underprivileged and abused
彼は恵まれない境遇で虐待を受けていたのだ
Perhaps a little bit confused
おそらくちょっと混乱してしまったのだ

It's not his fault that he can't behave
礼儀正しく出来ないのは彼の過失ではない
Society made him go astray
社会が彼をダメにしてしまったのだ
Perhaps if we're nice he'll go away
おそらく我々が誠実に接していれば彼はあんなことをせずに済んだはずだ
Perhaps he'll go away
あんな事件は起きなかったはずなのだ
He'll go away
あんなことは…

"Only a lad"
「彼はまだ子供なのよ」
You really can't blame him
彼を責めることは出来ない
"Only a lad"
「彼は少年なのよ」
Society made him
社会が彼を産んだのだ
"Only a lad"
「将来がある若者なのよ」
He's our responsibility
責任は我々にあるのだ

Hey there Johnny
おいそこのジョニー
you really don't fool me
バカにするんじゃねえぞ
You get away with murder
君は殺人を犯して逃げた
And you think it's funny
そしてアンタはそれを面白いと思っている
You don't give a damn if we live or if we die
俺たちが生きようが死のうがどうでも良いと思ってるんだ
Hey there Johnny boy
おいそこのジョニーボーイ
I hope you fry!
処刑されてしまえ!

 Oingo Boingoに関しては、この前の記事で"Little Girls"というロリコンソングを和訳しましたが、こちらも過激ですね。


Warren Zevon - Excitable Boy




Well, he went down to dinner in his Sunday best
彼はよそ行きの服を着てディナーへ行く
Excitable boy, they all said
キレやすい少年と皆が呼ぶ
And he rubbed the pot roast all over his chest
そして彼は胸中にポットローストを塗りたくった
Excitable boy, they all said
キレやすい少年って皆が言うんだ
Well, he's just an excitable boy
奴は単にすぐ興奮しちゃうガキなんだ

He took in the four A.M show at the Clark
彼は午前4時にクラークの劇場へ行った
Excitable boy, they all said
キレやすい少年と皆が呼ぶ
And he bit the usherette's leg in the dark
そして彼は暗がりで案内嬢の脚に噛み付いた
Excitable boy, they all said
キレやすい少年って皆が言うんだ
Well, he's just an excitable boy
奴は単にすぐ興奮しちゃうガキなんだ

He took little Suzie to the Junior Prom
彼はスージーをプロムへ連れて行った
Excitable boy, they all said
キレやすい少年と皆が呼ぶ
And he raped her and killed her, then they took her home
そして彼は彼女をレイプして殺し、家まで送ってあげた
Excitable boy, they all said
キレやすい少年って皆が言うんだ
Well he's just an excitable boy
彼は単に興奮しやすいガキなんだよ

After ten long years they let him out of the home
彼は10年という長い月日を経てシャバに戻った
Excitable boy, they all said
キレやすい少年と皆が呼ぶ
And he dug up her grave and built a cage with her bones
そして彼はスージーの棺を掘り返し彼女の遺骨で籠を作った
Excitable boy, they all said
キレやすい少年って皆が言うんだ
Well he's just an excitable boy
奴は単にすぐ興奮しちゃうガキなんだ


 この両者の歌詞に共通している点としては、過激な行いをする少年に対して「Only a lad」や「he's just an excitable boy」という言葉で片付けてしまう周りの大人たちの認識の甘さにあります。しかし"Only a Lad"では曲の最後で「お前みたいなクソガキは処刑されてしまえ」と本音をぶちまける形式を取っており、当初は少年の行いに寛容だった流れから突如態度が変貌してしまう構成が面白いです。Oingo Boingoの1stアルバム『Only a Lad』には"Little Girls"や"Only a Lad"以外にも"Capitalism"(資本主義バンザイ!)や"Imposter"(ロック評論家をバカにした曲)などの歌詞がかなり危ない曲も収録されているので(2nd以降はそういう歌詞も鳴りを潜め、ある意味まともになっていきます)、米国のニューウェーブ系バンドが奏でるサウンドだけでなく歌詞に注目して聴くのも楽しそうですね。ところで、オインゴ・ボインゴの和訳付き日本盤って出たことあるんですかね?

"Excitable Boy"は1978年にアサイラム・レコードから発売されたWarren Zevon(ウォーレン・ジヴォン)のアルバム『Excitable Boy』の表題曲ですが、シンプルで陽気なピアノロックのサウンドに乗せて、サイコパスの少年の異常な行動を淡々と歌い上げるという、サウンドと歌詞の対比が見事です。『Excitable Boy』は有名曲"Werewolves of London"も収録されている素晴らしいアルバムで、私の愛聴盤でもあります。アサイラム系でもJackson Browne、The Eaglesあたりはあまり好きではないんですが、同じくアサイラムに所属していたTom WaitsやJoni Mitchellと並んでWarren Zevonは私のお気に入りです。ジャクソン・ブラウンの親友ということもあり(路頭に迷っていたジヴォンを支援したのがブラウンでした)サウンドはピアノ弾き語り系のシンガーソングライターのそれなんですが、地声が低めかつ歌い方がワイルドということもあってかなり特徴的です。このアルバムではリンダ・ロンシュタットやスティーヴィー・ニックスのサポートで有名なギタリスト、ワディ・ワクテルのプレイも光ってます。私はOriginal Album Seriesの廉価版5CDセットを買ってウォーレン・ジヴォンに嵌ったクチですが、Amazonの海外のマーケットプレイス経由なら新品を2000円程度(送料込み)でまだ買えるみたいです。もしかしたらタワレコとかにもあるかもしれませんね。聴きやすくて面白いミュージシャンなので是非ご一聴を。

2014-08-07

Frank Zappa - I'm the Slime(和訳)







Frank Zappa - I'm the Slime


I am gross and perverted
オレは下品かつ外道だ
I'm obsessed 'n deranged
取りつかれて狂ってるんだ
I have existed for years
何年にも渡って居座ってきたが
But very little had changed
ほとんど変わっちゃいねえ
I am the tool of the Government
オレは政府の手先で
And industry too
業界ともグルだ
For I am destined to rule and regulate you
それはオレがお前を牛耳り支配する運命にあるからだ

I may be vile and pernicious
オレは卑劣で有害なのかもしれない
But you can't look away
でもお前らは視線をそらすことが出来ない
I make you think I'm delicious
お前らに美味しいと思わせてやる
With the stuff that I say
オレの話術でな
I am the best you can get
オレはお前らが手に入れられる最高のシロモノだ
Have you guessed me yet?
オレが誰か分かったか?
I am the slime oozin' out from your TV set
テレビから流れ出るスライムだぜ

You will obey me while I lead you
お前らはオレの指示に従わなければならない
And eat the garbage that I feed you
そしてオレが与えるゴミを食べ続けるんだ
Until the day that we don't need you
我々がお前らを必要としなくなる日まで
Don't got for help...no one will heed you
助けを求めてもムダだ…誰もお前なんて気に留めない
Your mind is totally controlled
お前らの心は完全にコントロールされて
It has been stuffed into my mold
オレの型にはめられてしまっている
And you will do as you are told
言われた通りのことをしろ
Until the rights to you are sold
お前らの権利が売られるまでな

That's right, folks..
その通りだ、みなさん
Don't touch that dial
チャンネルはそのまま!

Well, I am the slime from your video
オレはテレビのスライム
Oozin' along on your livin'room floor
お宅のリビングの床に滴り落ちるぜ
I am the slime from your video
オレはテレビのスライム
Can't stop the slime, people, lookit me go
スライムは止められないぜ、みんなオレを見てくれ


左上からラルフ・ハンフリー(Dr)、トム・ファウラー(Bass)
イアン・アンダーウッド(Flut, Clarinet & Sax)、ジョージ・デューク(Key & Synth)
ジャン=リュック・ポンティ(Violin)、ブルース・ファウラー(Trombone)
FZ(Guitar & Vocals)、ルース・アンダーウッド(Marimba, Vibes & Percussion)
 『Over-nite Sensation』と言えばポップ路線に転じたことで商業的な成功を収めた、ザッパの音楽キャリアにおけるターニングポイントとなった作品ですが、今回はその中から"I'm The Slime"を取り上げてみました。本作の収録曲はすべて歌物で、マザーズ時代に比べるとはるかに分かりやすいコンパクトな作風となっていますが、上記のようなユニークな歌詞と猥雑でカッコいいギターソロが歌モノの楽曲にある種のザッパらしさを漂わせています。
以前のCDのミックスは低音がこもり気味で全体的にもっさりとした感がありましたが、2012年リマスター盤では音のヌケが良くなり大変聴きやすくなりました。既にアルバムを持っている方も持っていない方も2012年リマスター盤の購入をおすすめしますよ。

 記事の最初に貼った映像は76年にサタデー・ナイト・ライブに出演した際の演奏です。ザッパはSNLに76年12月、78年10月と2度出演しており、バンド演奏だけでなくいくつかのコントにも参加するなど、このコメディ番組に対する熱意はただならぬものだったようです。SNLは伝説のコメディ番組としてお馴染みですが、音楽的側面においても功績がある番組です。ゲストとしてミュージシャンが毎回の放送で招かれ、数曲演奏を披露しています。SNLはコメディ番組としての質の高さはもちろん、様々なミュージシャンにテレビで演奏する機会を与えていたという点においても歴史的価値がある番組だったのかなと思います。キャプテン・ビーフハートやサン・ラといったカルト的ミュージシャンが出演している回もあったりするので本当にビックリします。
 今回取り上げた映像の面白いところは、"I'm The Slime"というテレビ批判の歌をテレビで生演奏してしまうという点にあります。「テレビから流れ出る粘着物(=スライム)」という歌詞に沿った演出までやってしまうのですから、ミュージシャン側・テレビ側双方の本気っぷりが伺えます。また、アナウンサーのドン・パルドがナレーションを担当してますが、同年の12月末に行われたザッパのニューヨークコンサートにもゲスト参加しており、その模様は名ライブ盤"Zappa In NY"で聴くことが出来ます。この76年のSNL出演では他にもキャッチーで美しい名曲"Peaches En Regalia"や、SNLのレギュラーメンバーだったジョン・ベルーシが演奏するムチャクチャなサックスにバックバンドが合わせる"Purple Lagoon"の演奏もあったりして、大変興味深いです。特にこの時の"Peaches En Regalia"は私がザッパを聴くきっかけとなった映像であり、大変思い出深いです。



 78年の出演では"Dancin' Fool"、"The Meek Shall Inherit Nothing"というポップな歌物を演奏している一方で、インストの"St. Alphonso Pancake Breakfast"メドレーではバカテクメンバーが凄まじい演奏を披露しており、また、前回同様ジョン・ベルーシがサムライに扮してバンドを盛り上げます。特にくわえタバコでものすんごいドラムを叩くヴィニー・カリウタ、変態ベースを奏でるパトリック・オハーンのプレイは見ものです。しかしこのザッパがホストを務めた2回目のSNL出演は評判が悪いらしく、歴代最低のサタデーナイトライブのホスト10人」や「70年代SNLのひどいホスト5人」という英語記事に2回目の出演がランクインしていました。記事によると、ザッパが台詞をわざと棒読みしたり、コント中に「今カンペ読んでる」と言ってしまったりと終始白々しい態度を取ったのが良くなかったようです。また、「SNLを出禁になった9人」という記事の筆者はSNLのプロデューサー、ローン・マイケルズに対し「反体制のフリークキングとして悪名高かった頃のザッパを司会に据えるという選択が、どうしてあなたはうまく行くと思ったのだろうか?」と批判をしています
 そんなザッパバンドのSNLにおける素晴らしい演奏ですが、SNL関連の動画は権利関係が厳しいらしくYoutubeにはほとんどアップロードされていません。しかしながら、ニコ動では画質の良い演奏が多く上がってますので、是非とも「zappa snl」と検索して色々な動画を観てみてください。面白いですよ。